筆跡鑑定の種類

相藝会 > 筆跡鑑定研究所 > 筆跡鑑定の対象

筆跡鑑定の対象

 筆跡鑑定の起源は、わが国では平安時代にまでさかのぼります。昔は美術品等の真偽鑑定が中心で、その鑑定のよりどころは専門の鑑定人の権威と眼力といった主観的なものでした。

 しかし明治以降、近代化が進むにつれ、民事・刑事等の裁判で筆跡鑑定が必要になってくると、鑑定結果は鑑定人の主観によるものでは済まされなくなりました。現代の筆跡鑑定では、鑑定結果とともに必ず鑑定理由を明記し、その鑑定理由には鑑定資料を科学的に分析した上で、客観的に納得できる検証がなされていることが必須となっています。

 筆跡は人間の「書く」という行動の結果残された痕跡であり、その行動には個体固有の傾向が伴い、痕跡にもそれが表れます。つまり、行動の痕跡である筆跡には、書いた人固有の特徴が出てくるのです。それを筆癖といいます。

 筆癖には、滅多に見かけることのない特殊な書き方の場合があり、それを希少筆癖と言います。この希少筆癖の混ざった筆跡があれば、誰が書いたものか特定できる確率が高く、また、筆跡は印鑑のように常に一定したものでなく、書くつどある程度変化の幅を有するので、いつ書いてもほぼ安定し変化の幅の小さい筆癖は恒常性の強い筆癖と呼ばれ、異同判定上の有力な要素となります。

 人間は一生の間に数多くの字を繰り返し書き、その頻度の高いものほど固有の型が安定した筆癖となって、書く人各人ごとの固有の傾向を構成しています。即ち、各人に人間性の差があるのと全く対応するように、筆跡における差もあるわけです。

 ただ、筆跡においては、別人であっても偶然よく似た筆癖を有していたり、平素の自分の筆癖を状況に応じてある程度変えて書く場合もあり、他人の筆癖を意図的に真似て書くケースも考えられます。しかし筆癖は、一字においても、その全体の構成から、一点一画にわたる細部の運筆までさまざまな固有性を伴っております。したがって、筆跡の異同判定は、鑑定対象となる筆跡の字数が少ないと困難ですが、字数が多いほどその精度は高くなるといえます。

 筆跡鑑定では、ある筆跡が、他の筆跡と同一人により書かれたものであるか否かを判定するのが基本であり、扱う内容には次のようなものがあります。

1.遺言書の真偽鑑定

 私的に作成した遺言書など、公証役場での第三者証明が無い場合は、本人自身が記載した遺言書であるかどうかの判定が必要な場合があります。
 本人が記載したと客観的に認められる、生前の銀行手続き書類や私的な日記帳などが対照資料として必要となります。

2.貸借契約書・連帯保証人等の筆跡の異同鑑定

 各種契約書の署名欄の筆跡で、署名名義人本人の筆跡であるかどうか真偽が問題となることがあります。

3.怪文書(脅迫状・誹謗文書等の差出人不明文書)の筆者の特定

 ネット掲示板への書き込みなどは対象となりませんが、従来手段(書状)による各種否定的な内容の文書は内部関係者によるものが大部分です。
 筆者となりうる対象母集団全員の平素の手書き文書を集めて頂き、その中から怪文書の筆者を特定する作業を行います。また怪文書作成の犯人と濡れ衣を着せられた人からの真偽判定の依頼もあります。

4.犯罪に関係した筆跡と被疑者の筆跡の異同鑑定

 誘拐の際に身代金を要求する手紙のあて名書きなどから、犯人を特定するような警察の活動に協力する場合があります。

5.養子縁組・離婚届等の文書の筆跡の異同鑑定

 詐欺など犯罪に関係する文書の筆者を特定する作業となります。

6.古文書・美術品等の真偽鑑定

 歴史上の人物による文書、絵画/美術作品への署名など、本人の手によらない複製物であるかどうかの判定等の際に真偽鑑定・真贋判定が行われます。これらも、筆跡鑑定の一種に分類されます。

7.その他各種文書の筆跡の異同鑑定

 あらゆる手書き文字について、その真正性が疑われる場合、客観的に証明するためには、筆跡鑑定が有効な手段の一つとなります。
 対象となる文字や、比較対照すべき文字の数が多ければ多いほど、確率的にも鑑定の正確性が上がります。

 

筆跡鑑定研究所 | 鑑定の対象 | 鑑定の種類 | 個人の方へ | 法人の方へ | ご依頼の流れ | FAQ | 研究所概要 | お問合せ